江戸時代から大衆の間で広まったお花見文化。浮世絵に描かれた桜の名所では、今でも江戸時代と変わらぬ美しい桜を楽しむことができます。北斎・広重の浮世絵とともに、東京・大阪・京都・奈良のお花見スポットをご紹介いたします!
※各スポットでは、お花見に関するルールを設けていることもございます。必ず事前に公式サイトやSNSをご確認の上、お出かけください。
歌川広重「隅田川水神の森真崎」
本作では向島から、水神社(現隅田川神社)を鎮守する水神の森と、隅田川の対岸の真崎とを望んだ風景が描かれています。隅田川の東岸の堤は、江戸時代当時、江戸屈指の桜の名所でした。桜にクローズアップをした大胆な構図と、柔らかな色合いで、のどかな春の景色をとらえています。
現在この付近では「都立汐入公園」や「隅田公園」が有名なお花見スポット。日本一高い建物である東京スカイツリーと桜の美しいコラボレーションも楽しむことができます。
▶︎汐入公園(東京都荒川区南千住8-13-1)
https://www.tokyo-park.or.jp/park/shioiri/
▶︎隅田公園(東京都墨田区向島1,2,5)
https://visit-sumida.jp/spot/6133/(墨田区観光協会HP内)
歌川広重「小金井橋夕照」
郊外に位置しながら、江戸で人気の花見スポットであった小金井。玉川上水の両岸に満開の桜並木が続き、遠景には富士を望む、小金井橋付近の夕景です。狂歌を入れるため空を大きくとった構図が、美しくもどこか寂寥感が漂うノスタルジックさを生み出しています。
現在も形を変え玉川上水にかかる小金井橋。玉川上水沿いに桜の木が植えられているほか、すぐそばの小金井公園では、約50種·1400本もの桜が咲きそろいます。東京ドーム約17個分という広大な園内には、江戸東京たてもの園などがあり、一日ゆっくりと過ごせるのも魅力です。
▶︎小金井公園(小金井市関野町1-13-1)
https://www.tokyo-park.or.jp/park/koganei/
歌川広重「上野清水堂不忍ノ池」
今もなお花見の名所である東京·上野。京都の清水寺に倣って建てられた清水堂の上からは、不忍池、中島弁財天、本郷台地の大名屋敷を一望することが出来ました。画面左手には名物の月の松も描かれています。鮮やかな朱色と桜の桃色が華やかで、春らしい明るさに満ちた一枚です。
東京を代表するお花見スポットといえば、上野恩賜公園です。桜の時期はいつも多くの人で賑わい、夕方からはぼんぼりでライトアップされた夜桜を楽しむこともできます。近くには東京国立博物館や国立西洋美術館などが立ち並び、美術館巡りとともに桜を楽しむのもおすすめです。
▶︎上野恩賜公園(東京都台東区上野公園)
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/toubuk/ueno/index_top.html
葛飾北斎「新板浮絵王子稲荷飛鳥山之図」
江戸随一の桜の名所として賑わいを見せた飛鳥山を、北斎は、西洋の遠近法を取り入れた「浮絵(うきえ)」の様式で俯瞰でとらえています。画面全体を淡いピンクで彩り、地平線を高くした構図は、春らしい華やかさがありながら、どこか幻想的な雰囲気を感じさせます。
東京都·王子に位置する飛鳥山は、現在も江戸時代から変わらず、都内有数の桜の名所。園内には遊具が設置され、児童・幼児エリアがあるので、家族で過ごすのにもおすすめです。梅雨時期には紫陽花、秋には紅葉と、一年を通じて四季の草花を楽しめます。
▶︎飛鳥山公園(東京都北区王子1-1-3)
https://www.npd.jp/asukayamapark/
アダチ版画のショールームがある目白・下落合エリアにも、おすすめのお花見スポットが。ショールームでも、春には浮世絵の桜をお楽しみいただけますので、ぜひお花見とあわせてお立ち寄りください!
▶︎おとめ山公園(東京都新宿区下落合2-10)
https://www.kanko-shinjuku.jp/spot/-/article_307.html
▶︎自由学園明日館(東京都豊島区西池袋2-31-3)
※見学日を確認の上、おでかけください。
https://jiyu.jp/
▶︎目白庭園(東京都豊島区目白3-20-18)
※開園日を確認の上、おでかけください。
https://mejiro-garden.com/
歌川広重「六十余州名所図会 山城 あらし山 渡月橋」
古来より和歌に詠まれ、風光明媚で知られた嵐山は、江戸時代にも桜の名所として名高い地でした。画面を斜めに横切る渡月橋、木々の鮮やかな緑と桂川の青に映える桜のピンクなど、広重はこの美しい春の嵐山を、錦絵ならではの豊富で鮮やかな色彩を存分に活かして、抜群の構図で見事に切り取っています。
京都・嵐山の桂川に掛かる渡月橋は亀山上皇が詩に詠んでその名がつけられた、嵐山を代表する名所です。あたりは自然豊かで、桂川沿いからは嵐山に咲く桜と渡月橋の風光明媚な景色を楽しむことができます。嵐山公園も毎年多くの花見客でにぎわうお花見スポットです。
▶︎嵐山公園(京都府京都市右京区嵯峨および西京区嵐山)
https://www.pref.kyoto.jp/koen-annai/ara.html
▶︎渡月橋(嵐山公園中之島地区)
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=8&tourism_id=2682
葛飾北斎「諸国名橋奇覧 摂州阿治川口天保山」
北斎が全国の橋を描いたシリーズ『諸国名橋奇覧』の一枚。天保山は河川整備で出た土砂で作られた人工の小山で、安治川の河口から大阪湾を一望でき、江戸時代にも行楽地として賑わいをみせました。本図では天保山の全景を捉え、俯瞰するような描き方をしています。
海遊館やマーケットプレイスなど、商業施設が立ち並ぶ大阪のベイエリアに位置する天保山公園。天保山は標高4.53mの低峰で、その山頂付近にある天保山公園でお花見を楽しむことができます。
▶︎天保山公園(大阪府大阪市港区築港3-2)
https://osaka-info.jp/spot/tempozan-park/
葛飾北斎「雪月花 吉野」
古来から修験道の御神木として信仰の対象であったのが吉野山の桜。江戸時代初期には、この吉野の桜が、桜の名所である上野の寛永寺、また、品川の御殿山にも移植されたといわれています。北斎はこの吉野の満開の桜を、狭間の谷一面を埋めつくすような大胆かつ壮麗な構図でとらえています。
吉野山の桜は約3万本といわれており、春になると、吉野山の山肌がピンク色に染まっていき、圧巻の風景を作り出します。また、標高や地形など、様々な要因で区域によって桜の咲くタイミングが異なるため、約一ヶ月もの間、多様な姿を楽しむことができるのも魅力の一つです。
▶︎吉野山(奈良県吉野郡吉野町):https://yoshinoyama-kankou.com/