飾って楽しむアダチの浮世絵 お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 『母娘を結ぶ、浮世絵の花の贈り物』

飾って楽しむアダチの浮世絵 お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 『母娘を結ぶ、浮世絵の花の贈り物』

「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方をうかがっています。

今回お話をうかがうのは、SNSでお声掛けをしたMさんです。"#アダチ版画"のハッシュタグで、北斎の花鳥画を飾ってくださっている様子を投稿されていたMさんに、ぜひお話をうかがいたい!とメッセージをお送りすると、快くお引き受けくださいました。

今回お話をうかがったMさん
英国車のディーラーがお勤め先というMさん。新型コロナウイルスが流行する以前は、旦那様と海外旅行にもよく行かれていたそう。ご夫婦揃っての趣味はスノーボード。近頃はインテリアや植木のお手入れを楽しみながら、愛車でのドライブで休日を過ごされているのだとか。インドア、アウトドア両方の趣味をアクティブに楽しまれているのがとても印象的でした!

嫁入り道具として、母からもらった『北斎花鳥画集』

―今回はお引き受けいただきありがとうございます。SNSの投稿を拝見したのですが、北斎花鳥画集のセットをお持ちでいらっしゃるのでしょうか?

Mさん 「はい、アダチ版画の『北斎花鳥画集』10図セットを持っています。私の嫁入り道具として、10年程前に母があつらえてくれたんです。確か、名古屋の百貨店のイベントにアダチ版画様が出展していらした際に、額と台紙(差し替え用マット)も一緒に注文をしてくれました。」

―そうだったのですね!会場にはMさまも一緒に行かれて選ばれたのですか?

Mさん 「いえ、私は不在でした。母は版画や骨董などが好きで、確かその日も版画を見に行っていたのだと思います。買い物する予定ではなかったそうですが、花鳥画集があまりにも素敵だったため再度売り場へ戻り、注文したそうです。」

―わざわざお戻りになられて購入してくださったんですね!

Mさん 「本当に母の優しさですね(笑)。当時私は30代前半、夫婦ともに忙しく働いておりましたので、生花を室内に飾る余裕は、時間的にも精神的にもありませんでした。掛け替えの手軽さと、北斎の花鳥画図のモダンさに、私自身も惹かれました。

お母様からの贈りもの、という心温まるエピソードをくださったMさん。Mさんご自身も、もともと自然や、草花がお好きだそう。

心を豊かにする大切なエッセンスのひとつ

Mさん 「日々の生活の中で自然を感じることは、心を落ち着かせ、また、心を豊かにするうえで私にとってとても大切なことだと思っています。元々、大学で植物学を専攻していて、動植物が好きなこともあるのですが、生活の中に"自然を感じるもの"があれば、それだけでハッピーな気分になれるんです。とても単純なのですが(笑)。ですので、家の中に植木や花を置くのと同じように、季節ごとに入れ替える北斎の花鳥画も、その大切なエッセンスのひとつになっています。

お話のとおり、シンプルな色合いのインテリアの中に、お花や緑が映えるとても素敵なご自宅。アダチの花鳥画は、そのご自宅の玄関に飾っていただいています。

<玄関を入ってすぐのところに飾られた「あやめにきりぎりす」。
シックな暗色の壁とのバランスも、モダンな印象で素敵です。>

―飾られてみて、どのような印象でしたか?

Mさん 「玄関を開けて最初に目に入るこの版画たちは、静止画なのにどこか空気感があり優しい風が吹き抜ける、そんな印象を受けます。北斎の版画というと、迫力があり雄々しい印象がありますが、花鳥画の繊細で優しい感じは、ホッと心を和ませてくれています。」

―お母様からの贈りもの、というエピソードを伺うと、より作品の持つ優しさが感じられる気がします。お母様からは何か感想がございましたか?

Mさん 「たまに私の家に来た際には『やっぱり素敵ね~』と惚れ惚れしていますよ。『これだけ使ってくれていれば、持たせた甲斐があった』とも言っていました(笑)。それと母以外にも、自宅に招いた友人・知人からは、これがポスターなどではなく、版画というところにも興味を持っていただいて、会話のきっかけになっています。」

―飾っている作品が会話のきっかけになるというのは、以前インタビューした方も仰っていました。

Mさん 「皆さん、一様に『素敵なご趣味ですね』『季節感があっていいですね』と言ってくださるのですが、これが北斎の作品というと驚かれます。北斎といえば『富嶽三十六景』。花鳥画も描いているというのは、新鮮なのかもしれません。ちなみに私もこれを手にするまで、北斎が花鳥画を描いていることを全く知りませんでした。」

―確かに北斎というと、風景画のイメージが一般的かもしれないですね。「神奈川沖浪裏」などダイナミックな作品の印象が強い北斎が、これほど繊細でモダンな花鳥画を描いていたことに驚かれるお客様は多いです。ちなみにMさんは、10図の花鳥画の中で特に好きな1枚はありますか?

Mさん 「どれも素敵で選び難いですが、どれか一つと言われると『牡丹に蝶』でしょうか。毎年3月下旬になると、この版画に入れ替えるのですがいよいよ待ちに待った春が来るなぁと、気分が高揚します。」

葛飾北斎「牡丹に蝶」アダチ版復刻浮世絵

Mさん 「豪華に咲き誇る牡丹と、その間をゆったりと舞う蝶。その蝶や牡丹の葉の動きから、右から左へと春の風が吹いているように感じます。また風だけでなく、春の温度感も感じる気がします。自宅に帰ってきたときに、ホッと心が温かくなる1枚です。

お話を伺った3月下旬には、ちょうど「罌粟(けし)」から「牡丹に蝶」へ差し替えをされたそう。差し替える前と後の写真も送ってくださいました。

―先ほども少しうかがいましたが、季節ごとに差し替えられているのですよね。

Mさん 「そうですね。また、自然の草花の移ろいが目安になることもあります。我が家の隣には緑豊かな大きな公園があり、四季折々の草木や運河に飛来する季節の野鳥がいて、通勤時などに毎日少しずつ変化する姿を楽しんでいます。今の季節だと桜やモクレン、これからは菖蒲や紫陽花など。それらの花が咲くタイミングで、そろそろ版画を入れ替えよう、と思ったりもするんです。」

―すごく素敵なお話ですね。

Mさん 「時には、どこかに版画と同じ花が咲き始めてないかな、と探すこともあります。実は版画を見て、初めて実際の花を知ったものもあるんですよ。芙蓉の花が、会社のすぐ近くに咲いていました。」

四季折々の変化を日々楽しまれているMさんの、自然愛にあふれるお話に、なんだかこちらもワクワクしてしまいます。

ご自宅で飾られる際にも、季節感ある小物と合わせられています。「作品一枚で玄関を模様替えできるのも、魅力の一つ」と仰ってくださいました。

額の中身を差し替えるだけで玄関の模様替えができるのが魅力

続いて、作品の保管や差し替えについてもお話をうかがっていきます。

差し替える際のご様子も送ってくださいました。

―飾っていない作品は普段どのように保管されていらっしゃるのでしょうか?

Mさん 「セットはもともと収納帙に入っているので、それを箪笥の上で保管しています。自宅の中でも、湿気がなく、温度変化を受けにくいところなので。」

―弊社の作品を大切にしていただき、本当にありがとうございます。ちなみに、作品の差し替えに際して不便に感じたことなどはございますか?

Mさん 「専用マットが2種類あったため、はじめは絵によって入れ替えるのがやや億劫に感じることがありました。」

―確かに、対応表を逐一確認して入れ替えるのは、慣れるまで少し面倒かもしれないですね。貴重なご意見ありがとうございます。

<アダチの復刻版浮世絵は、江戸時代当時の原寸大で復刻しています。作品の貼られた台紙と、額のアクリル板の間に挟むマットは、作品の画寸法に合わせてご用意。花鳥画集以外の『富嶽三十六景』など、どのシリーズでも大体2~3種類あるので、各シリーズでマットの対応表を同封しています。>

Mさん 「あとは欲を言えば、冬にかけることができる花鳥画版画があと1枚あれば、最高だな!!と思っています!(笑)」

――北斎の花鳥画集には、冬の作品がないのですよね...! 広重の花鳥画でしたら、ぜひご提案させていただきます!(笑)

歌川広重「雪中椿に雀」
<冬の花である椿を描いた作品。北斎の花鳥画同様、広重の大短冊の花鳥画も、季節ごとにお楽しみいただいているお客様が多い、人気作です。>

今となっては我が家にはなくてはならないもの

そして最後に、セットで持つことの魅力や、Mさんが考えるメリットについてもお話くださいました。

Mさん 「この『北斎花鳥画集』のセットは、今となっては、我が家にはなくてはならないもの。今回このお話をいただいて、改めて花鳥画の全ての作品に目を通しましたが、こんなにも掛け替える種類があるのか!と、これから来る季節がとても楽しみになりました。手間をかけずに、ゆとりを持てる、これが単品でなく、セットで持つ意味でしょうか。嫁入り道具としての贈り物には、本当にお勧めです(笑)。
急な来客の際にも、これ一枚玄関に掛けておけば、室礼(しつらい)にも悩みませんので大変重宝しています。本当にお値段以上の価値は、十分にありますね。」

今回は主に文面でのやり取りだったのですが、お母さまからの贈りものといった心温まる経緯から、セットの楽しみ方まで、Mさんご自身のお言葉やお写真で丁寧にお話ししてくださり、実際に皆さまがどのように版画を差し替えて楽しまれているのか、私たちにとっても学ぶことの多いインタビューとなりました。

このたびはご協力いただき、本当にありがとうございました!