キキ・スミス
アメリカを代表するアーティスト、キキ・スミス氏は、1970年代以来、人間の身体や生命の循環をテーマに、彫刻、版画、ガラス、テキスタイルなど多様な媒体を横断しながら作品を発表してきました。2022年には、ニューヨークのグランドセントラル駅に新たに設置されたモザイク壁画のアーティストとして草間彌生氏とともに選ばれ、世界的な注目を集めました。
アダチ版画との協働から生まれた木版画「Paper Wasps Nest」は、松の枝にかかるスズメバチの巣を描いた作品です。本作では、印刷で用いられるシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)の4色による色表現を、和紙に水性絵具を摺り重ねる伝統木版技術によって再現する試みがおこなわれました。スミス氏の独創的な発想と、現代の彫師・摺師の卓越した技術が出会うことで、新たな木版表現の可能性が示されています。
「Paper Wasps Nest」:コンセプトとプロセス
世界的アーティスト、キキ・スミス氏とアダチ版画とのコラボレーションから生まれた新作木版画「Paper Wasps Nest」では、氏の提案によって、一般的な印刷で用いられる「シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)」の4色による色表現を、和紙に水性絵具を摺り重ねる伝統的な木版画で再現できるのかという試みが行われました。
制作は次のような工程で進められました。
・アーティストから完成図ではなく、C・M・Y・Kの4色それぞれの線描図が提示される
・彫師は、それらを一色ずつ版木に貼って彫る
・C・M・Yの版を順に摺り重ね、重なった色が黒に近いグレーに変化していく過程、「減法混色」を確認する
・これに主版である黒(K)の版を重ね、画面の輪郭と構造を定める
・最後に、松の木にかかるスズメバチの巣越しに見える澄んだ青空を、浮世絵に特徴的なぼかしで表現する
こうして完成した「Paper Wasps Nest」は、キキ・スミス氏の独創的な発想と、現代の彫師・摺師の高度な技術とが出会うことで生まれた、新たな木版表現の可能性を示す作品です。
彫ーCarving process
彫師の刀が生み出す スズメバチの巣の繊細な線
彫の命ともいわれる小刀を自在に操り、堅い山桜の版木をリズミカルに彫り進める彫師。本作の制作では、オンラインでの打ち合わせにキキ・スミス氏本人も参加し、彫師と摺師が直接意見を交わしながら細部の表現を確認していきました。
摺ーPrinting process
和紙と水性絵具が生み出す スミス氏が求めた透明感溢れる色彩
楮から作られる越前生漉奉書に、バレンを使って水性絵具をきめ込むことで、木版画特有の透明感ある色が生まれます。本作では、その色彩によってスズメバチの巣や澄んだ空の色が表現されています。スミス氏とのオンラインでの打ち合わせでは、彫師と摺師が直接意見を交わしながら細部の表現や色味を確認していきました。
Artist Profile
<p>キキ・スミス</p>
1954年独ニュルンベルク生まれ。翌年アメリカに移住。死や再生、性をテーマに、彫刻、版画、映像作品などを制作する。1990年にニューヨーク近代美術館のプロジェクトで注目を集め、2005年ヴェネチア・ビエンナーレで発表した作品が高い評価を得た。ウォーカー・アート・センター主催の回顧展「Kiki Smith: A Gathering, 1980-2005」がサンフランシスコ近代美術館やホイットニー美術館などを巡回。2009年エドワード・マクダウェル・メダル受賞。2012年アメリカ国務省芸術勲章。作品収蔵先にニューヨーク近代美術館、シカゴ美術館、メトロポリタン美術館など。

<配送料>
| 配送先/Destination | 額付/Framed Print |
| 日本国内 Inside of Japan |
無料/Free |
| アジア East Asia・Southeast Asia |
¥13,000 |
| アメリカ North America |
¥15,000 |
| ヨーロッパ・オセアニア Europe・Oceania |
¥18,000 |
| 南米・アフリカ・その他 South America, Africa, Other Areas |
¥28,000 |
| (2026年3月現在 / As of March 2026) |

