
ジャポニスムに影響を与えた<br>北斎花鳥画集
西洋の工芸品に影響を与えた斬新なデザイン
世界で最も有名な浮世絵師・葛飾北斎は、90年の長い生涯の中で、国内外の絵画技法を研究し、この世の森羅万象を描くことに情熱を燃やしました。その北斎による全10図の花鳥画集は、伝統的な画題である花鳥画を描きながらも、現代まで色褪せることのない目新しさがあり、私たちの心を惹きつけてやみません。
幕末には海を渡り、ヨーロッパで大きな注目を集めた本シリーズの作品は、ガラス器や宝飾品など数々の美術工芸に取り入れられ、世界を代表するガラス工房「バカラ」や「ラリック」のデザインにも影響を与えたと言われており、世界的にも高い評価を得ています。

<p>北斎が極めた「静」と「動」の表現</p>
『冨嶽三十六景』と同時期に、同じ版元・西村永寿堂から出版された本シリーズ。波や富士の描写を追求し培った変幻自在の表現力が、花鳥画においても存分に発揮されています。10図は、静止した瞬間の「静」、風にたなびく一瞬をとらえた「動」の2種類に分けることができ、風や空気の流れにより、一刻も同じでない自然の表情を、余すことなく描こうとした北斎の気概が感じられます。
一図ごとに、造形の細かさや写実性を楽しむと同時に、全図で北斎が極めた「静」と「動」の表現を堪能していただけるシリーズと言えます。

<p>北斎の筆致を忠実に彫りあげる</p>
北斎の描いた「静」と「動」は、主に線で表現されています。花びらの一枚、葉脈の一本一本を細密に、また、強弱をつけて描いています。そのため、彫師は、その北斎の筆致を理解し、忠実に彫りあげる高度な技術が要求されます。

<p>北斎のイメージどおりに摺りあげる</p>
計算し尽くした完璧な配色で、美しい花鳥を描いている本シリーズ。その中の一色でも、少し色味が変わると全体のバランスが崩れてしまうため、摺師は、色味の調整には特に気を配ります。そして馬連に力を込め、和紙に絵の具をしっかりと摺り込むことで、華やかで色鮮やかな発色が実現するのです。


花を活けるように気軽に差替えて楽しむ
定期的に花鳥画集の作品を差し替えて飾ってくださっているお客様からは、嬉しいお声も頂戴しています。
「北斎花鳥画集のセットは、私の嫁入り道具として10年程前に母があつらえてくれました。今となっては、我が家にはなくてはならないもの。玄関を開けて最初に目に入るこの版画たちは、静止画なのにどこか空気感があり優しい風が吹き抜ける、そんな印象を受けます。また季節ごとに差し替えているので、簡単に玄関の模様替えができるのも嬉しい限りです。急な来客の際にも、これ一枚玄関に掛けておけば、室礼にも悩みませんので大変重宝しています。」
