北斎による西洋画風の風景画
一点透視図法(線遠近法 ※)は、西洋では15世紀に絵画技法の一つとして確立されました。日本へは江戸時代に、オランダから長崎へ輸入された蘭画(銅版画や本の挿絵)や、中国の版画を通じて伝わったといわれます。浮世絵への影響は大きく、絵師たちはこの新しい技法を用いて、芝居小屋の描写などを試み、これらは画面が前方に浮き出て見えることから「浮絵」と呼ばれ発展しました。(「浮絵」の由来には諸説あり)
和洋の画法を熱心に研究した北斎も、40代にいくつかの浮絵を制作しています。中にはオランダの銅版画風に描いた作品が数点あり、北斎の西洋への強い意識がみられます。