
feebee
イラストレーターとして、また近年は現代美術アーティストとして活躍中のfeebee氏。毎年feebee氏とアダチ版画研究所のコラボレーションとして制作している浮世絵シリーズ「寿という獣」は、十二支全てを一つの体に持つめでたい生き物、キメラ(合成獣)を描いた作品です。
これらの作品は、江戸時代後期の浮世絵師 遠浪斎重光(えんろうさいしげみつ)の「寿という獣」という作品に着想を得て描かれました。遠浪斎を始め、複数の浮世絵師によって描かれた、「十二支全ての特徴を持つめでたい生き物」は、feebee氏の制作テーマである「畏怖・生死・循環」に通じるモティーフであると言えます。様々な要素が絡み合いながら、興亡や衰退を繰り返し、循環していく。そして、十二支もその年ごとにメインとなる動物が循環して暦を成していきます。
浮世絵シリーズ「寿という獣」は、2025年12月現在「子」「丑」「寅」「卯」「辰」「巳」「午」が完成しており、今後も新作が発表される予定です。
彫ーCarving process
寸分の隙も無いfeebee氏の描線 息も止まるような彫師と絵師のせめぎ合い
イラストレーターならではの巧みな描線は、浮世絵版画制作には欠かせないもの。彫師はその迷いのない美しい描線を、己の技術の全てを集めて彫り上げていきます。絵師・彫師・摺師の三者の共同作業からなる総合芸術、浮世絵版画の醍醐味がここに再現されます。
摺ーPrinting process
浮世絵木版画ならではの軽やかで鮮やかな発色。feebee氏の世界観を共に作り上げる
浮世絵木版画の鮮やかな発色は、丁寧に作られた楮の和紙に水性の絵具を摺りこむことで生まれます。摺師は、絵師であるfeebee氏が求める鮮やかな色を和紙に再現するために、注意深く調合した絵具を馬連を使って和紙に摺りこんでいきます。
<h3>feebee (フィービー)</h3>
神奈川生まれ。2002年よりイラストレーターとして活動を開始し、独自のネオジャパネスクスタイルで注目を集める。
2015年アーティストへ転向し、国内外の展覧会やアートフェアで作品を発表。東洋的思想を基盤に、日本画、工筆画、アクリル画の技法を駆使し、言語や文化を超えた現代人共通のテーマを探求。江戸時代の浮世絵に着想を得た木版画シリーズ「寿という獣」を毎年の干支に合わせて発表し、伝統木版画技術の継承を長期的に見守っている。主な個展に「変化しつつ循環するもの」(六本木ヒルズA/Dギャラリー、2020年)、「私は、私と私の環境であるII」(ロイドワークスギャラリー、2024年)がある。






