国芳の描いた武者絵・物語絵
中国から伝わった「水滸伝」が日本でベストセラーとなった際、その登場人物たちをいち早く錦絵に描いたのは国芳でした。張順(浪裡白跳)や阮小五(短命二郎)などのアウトローたちを力強く描き出した「通俗水滸伝豪傑百八人之壱人」シリーズは国芳の出世作となります。以降「武者絵の国芳」と評されるようになった国芳は、様々な物語に登場する豪傑や侠客を描いています。
「三枚続」の浮世絵を、一つのワイド画面として大迫力に仕立てたのも、国芳のイマジネーションでした。通常の「大判」サイズの浮世絵を3枚並べ、和紙の大きさの制約の中で大画面を実現させた「三枚続」の手法。国芳は、この大画面いっぱいに、がしゃ髑髏や鯨を描くことで、見る人を惹きつける絵作りに成功しています。