国芳の描いた風景画

国芳が活躍した時代は、まさに浮世絵風景画の絶頂期でした。葛飾北斎「富嶽三十六景」や、歌川広重「東海道五拾三次」などの名作が生まれる中、国芳は、低い位置に視点を取り空を広く描く構図や、板ぼかしの多用、陰影の表現など、様々な工夫によって他の絵師たちとは一味違った風景画の画風を確立させています。

こうした画風の背景には、国芳の西洋銅版画の研究があったと言われています。明暗や遠近感を巧みにとらえた国芳の近代的な風景画は、浮世絵風景画の中でもひときわ異彩を放っています。