金子富之 Tomiyuki Kaneko
山形を拠点とし、「目に見えない存在の具現化」をテーマに精霊や妖怪、神などの精神的な存在を作品として描き出す期待の若手アーティスト・金子富之氏。金子氏が描く神獣の世界が「赤虎」「青虎」として、伝統木版技術により色鮮やかに完成いたしました。
彫ーCarving process
刀の先に神経を集中させエネルギー溢れる謹厳な虎の姿を彫りあげる
金子氏のエネルギー溢れる描線をリズミカルに彫りあげていきます。絵師の筆遣いを感じながら、その描線を忠実に小刀一本で彫る作業には、彫師の高い集中力と精度が求められます。
摺ーPrinting process
日本独特の素材と技から生まれる 赤と青の鮮やかなコントラスト
伝統木版画特有の軽やかで鮮やかな発色は、手作業で作られた楮の和紙に馬連で水性絵具を摺りこむことで生まれます。色鮮やかに摺り上げられた赤と青のコントラストが見るものを魅了します。
<h3>金子富之(1978- )</h3>
日本画をベースとしている私の作品を伝統木版の技で仕上げて頂く事は大変嬉しいことです。最初に木版になった自分の作品を見た時、どこか大人びた印象に思いました。昔から伝わる木版のイメージや雰囲気がそうさせたのだと思います。説得力を持つ大衆の意識に呑みこまれてはいけないと思いつつ、調和しなければならないと思う心に伝統というゆるぎない指針を見せて頂いた思いです。私も自分の中心軸をぶれさせないように制作しなければと思いを強くいたしました。
1978年埼玉県生まれ。山形県在住。東北芸術工科大学大学院博士課程修了。実態の無いものの具現化を主題とし、主に妖怪や精霊、神など精神的存在を平面に置き換える。主な展覧会に「19th DOMANI・明日展」国立新美術館(2018)、個展「荒ぶる神々」ミヅマアートギャラリー(2017)など。