このたび、現代のインテリアやライフスタイルに溶け込むアダチの浮世絵の様子をご紹介し、より多くの方が浮世絵との新しい出会いを見つけるきっかけになればと、本ブログにて新たな企画をスタートいたします。実際にアダチ版画の復刻版浮世絵を飾ってお楽しみ頂いている方へインタビューを行う連載(不定期更新)です。
第一回目にお話をうかがったのは、東京都中央区にお住まいの、Fご夫妻です。
半年前に引っ越したばかりという新築のマンションにて、インテリアへのこだわりや、浮世絵のある暮らしについてお話していただきました。
今回お話をうかがったFご夫妻:Cさん(左)とKさん(右)
休日にはご家族やご友人を招待し、たびたびホームパーティも行うというおふたり。旅行やワインが共通の趣味で、ご自宅にはワインセラーもあるとのこと! インテリアへのこだわりだけでなく、そういった趣味のお話でも盛り上がりました。
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こだわり抜いた新居のインテリア
玄関を開けると、ご夫妻の素敵な笑顔と共に、早速アダチ版画の浮世絵がお出迎え! ナチュラルな白木額で額装された歌川広重の「日本橋雪晴」です。
お伺いした12月初頭でも、暖房いらずの暖かい日差しが差し込む明るいリビングには葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」。北欧テイストで統一されたお部屋には、インテリアへのこだわりが随所に感じられます。
―本当に素敵なお部屋ですね!素人目ながら、家具や照明もすごくこだわっていらっしゃるなと感じます。なにかインテリア関係のお仕事をされていたのでしょうか?
Cさん「いえ、全然!インテリアに関っていたことと言えば、学生時代にインテリアショップで少しアルバイトをしていたくらいです。ダイニングテーブルなどの家具は、今回の引越に合わせて、新しくオーダーをして作りました。」
―持って生まれたセンスを感じます! こちらのご新居に絵を掛けるということは、あらかじめ決めていたのでしょうか?
Cさん「はい。壁の面積が大きいので、殺風景のままよりはなにか飾ろうと。」
Kさん「そうだよね。それと、もともと一緒に住んでいた家に、現代アートの作品を置いて飾っていたのですが、せっかくならそれを壁に掛けて飾りたいという話にもなり、絵を掛ける前提で照明などを考えました。」
―照明まで!
Kさん「昼は日差しが明るいので分かりにくいですが、夜になると、より陰影がついて雰囲気が変わるんですよ。」
Cさん「それでせっかくなら他の絵も飾りたいね、ということになり、飾る作品を探し始めました。」
―そうだったんですね。アダチ版画の浮世絵は、以前からご存知だったのでしょうか。
Cさん「はい。海外の友人に贈り物として利用したこともあったんです。その時は「神奈川沖浪裏」や「赤富士(凱風快晴)」をプレゼントして、すごく喜んでくれて。彼の実家にも贈ったりもしました。」
Kさん「そうだね。帰省した時に、飾っていましたよ。」
Cさんは、以前アメリカやドイツに短期留学されていたとのこと。当時のご友人を訪ねた際に直接手渡され、とても喜んでくれたのが嬉しかったと、笑顔で話してくださいました。
「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」は、アダチ版画のオンラインストアでも、国内外からギフトとして常に人気の高い作品ですが、こうして実際に贈った方、また、贈られた方の反応を伺うことができ、アダチ版画の浮世絵が、人の心をつなぐコミュニケーションツールのひとつにもなっていることを改めて実感しました。
北欧系インテリアショップでの浮世絵との出会い
―北欧テイストの洋間に、「和」のイメージが強い浮世絵がとても自然に馴染んでいらっしゃいますね。最初からアダチ版画の浮世絵は、選択肢のひとつにあったのですか?
Cさん「いえ、はじめは、やはり洋風の部屋なので、あまり「和」が強いテイストは合わないのかな、と思い、現代アートの作品を探していました。でも、家具をオーダーするために行った北欧家具を扱うインテリアショップに、浮世絵が飾ってあるお店があって。それに、物件を回っていた時も、洋風のマンションのエントランスに浮世絵が掛かっていたところもみかけて、あ、意外と北欧系のインテリアにも合うのかもしれないな、と思い始めたんです。」
Kさん「そうですね、僕も、北欧テイストの部屋に、あえて和のものを取り入れたインテリアにするのも、面白いかもね、と話していました。」
北欧系のインテリアと日本の浮世絵。以前からアダチ版画でも「意外に合う組み合わせ」としてご紹介もしていましたが、実際にFさまのご自宅にお伺いし、あまりの相性の良さに、アダチ版画のスタッフも驚きました。
近年「ジャパンディ」(「ジャパン」と北欧風を意味する「スカンディ」を掛け合わせたインテリアの用語)と呼ばれる、和と北欧を掛け合わせたインテリアが世界で注目されているとも言います。
華美な装飾を排除し、シンプルな美しさが特徴である北欧のインテリアの要素は、無駄を省いた省略美が評価される浮世絵との融和性も高いのかもしれません。
せっかくなら自分たちに関わりのある作品を飾りたかった
そして、最終的に浮世絵の購入の決め手となったのは、作品と新居の関わりとのこと。
Cさん「マンションの近くに日本橋や隅田川があるので、せっかくだから家に飾るものは、自分たちや住まいに関わりがあるものがいいなという話になったんです。それでアダチ版画さんのショールームに伺って、玄関の『日本橋雪晴』を購入しました。それも、いろいろ迷ったんだよね。」
Kさん「いろんな日本橋の作品があったからね。」
―そのいろいろな日本橋の作品の中で、広重の「日本橋雪晴」を最終的に選ばれたのは?
Cさん「決め手は...最終的に、一番好きだった絵だから、選びました!(笑)」
―その「日本橋雪晴」には白木の額を選んでいただいていますが、なにか理由はあるのでしょうか?
Cさん「白木額は、よりこの部屋のインテリアに調和すると思い、選びました。今掛けている『神奈川沖浪裏』の黒っぽい額(※アダチ版画で通常ご用意している、漆塗り風の額)とは、部屋の印象が全く変わりますね。」
おふたりのご厚意で、玄関の「日本橋雪晴」をリビングに飾った様子も、みせていただきました。
最初に飾っていた「神奈川沖浪裏」では、作品がお部屋のアクセントになっている印象でしたが、白木の額では北欧テイストのインテリアにより調和し、お部屋の雰囲気が柔らかな印象になります。
―ご友人たちとホームパーティもされるとのことですが、掛けている浮世絵について、お客様からなにか反応はあったりするのでしょうか?
Kさん「会話のきっかけになりますね。例えば、玄関に入った瞬間に浮世絵があると、あ、浮世絵だ、となるし、"これ、この辺が描かれた絵なんだ"というように話が広がっていきます。」
―アダチ版画の浮世絵が、会話のきっかけになっているのは嬉しいです。
今後も季節で差し替えて楽しんでいきたい
最後に、今後、どのように浮世絵を楽しんでいきたいかについてもお話をしてくださいました。
Kさん「季節によって作品を差し替えるのもいいよね、と話しています。次は広重の『両国花火』がいいかなって。あれも隅田川を描いた作品なので。」
Cさん「あとはアダチ版画さんで制作している、現代作家の作品も気になっています。」
―広重の「両国花火」だと、またお部屋の印象が違ってみえそうですね。
Kさん「この『神奈川沖浪裏』もそうですし、絵を掛け替えるだけで部屋の雰囲気ががらっと変わるので、簡単に部屋の模様替えになりますね。」
Cさん「あ、あの作品もいいって話していたよね。色味とかがこの部屋とも合いそうで...北斎の桜の大きい作品なんですけど」
―「桜花に富士図」ですね! どの作品も季節が異なる(「桜花に富士図」の春、「両国花火」の夏、「日本橋雪晴」の冬)ので、四季で架け替えてお楽しみいただけますね。それに、このお部屋のインテリアともすごく馴染みそうです。
Cさん「そうですね。やはりインテリアとのバランスをベースに考えつつ、作品の背景などもあわせて楽しんでいきたいと思います。」
Kさん「作品に描かれた場所や、その背景を知ることで、より浮世絵を身近に感じることができると感じました。また、職人さんが実際に手作業で制作しているという点も魅力の一つだと思います。自分たちだけでなく、より多くの人にそういった点も伝わればといいなと思います。」
インテリアへのこだわりとともに、おふたりの浮世絵の楽しみ方についても、お話してくださったF様ご夫妻。今回はご協力いただき、本当にありがとうございました。