北斎 幻の傑作

「桜花に富士図」

本作「桜花に富士図」は、北斎が「画狂人」と名乗っていた40代の頃に描いた作品です。重なり合う満開の桜とあたりに漂う春霞、その向こうに白化粧の霊峰富士を望む美しい春の情景です。

生涯を通じて富士を描き続けた北斎。そんな「富士の絵師」北斎が描いた本作は、現存作例も極めて少ない知る人ぞ知る傑作です。「富士」と満開の「桜」を抜群の構図で描いた本作は、まさに日本人の心象風景そのもの。

淡い色を何度も摺り重ねて生み出す上品で洗練された色合いや、桜の花びらに施された画面を立体的に浮かびあがらせる「空摺」など、木版特有の技法を多用し、贅を極めた特注品として作られた作品です。

技を極め、贅を尽くした特注品 葛飾北斎の摺物

「摺物(すりもの)」とは、江戸時代当時、特注品として作られた作品です。広く一般向けに企画販売される一枚絵とは異なり、教養人である注文主の趣味や意向にあわせた特別注文により、洗練された色遣いや「空摺(からずり)」などの摺の技法を多用した豪華な作品が作られました。
手の込んだ摺の技法が映えるように、和紙は上質で厚手の物が使われました。また、特注品であるために作品のサイズも様々で、本作は「長判」と呼ばれる横に長いサイズで制作されました。こうした「摺物」には、技と贅を極めた逸品が多く残されています。

<p>花びら一枚ずつの個性まで<br/>完璧に彫りあげる</p>

特注品として作られた本作は、北斎の優れた筆遣いによって、桜の花びら一枚一枚が個性を持った輪郭線で描き分けられたり、またその輪郭線が何色にも分けられたりと、とても手の込んだ作品です。その北斎の筆遣いを忠実に再現し、全ての版を彫り上げるには大変な手間と時間がかかります。高い彫の技術が要求される作品です。

<p>淡く上品な色遣い<br/>摺りで魅せる春爛漫</p>

本作では、全体に淡い色を何度も摺り重ねることで、上品で繊細な色合いを表現しているため、摺の工程に時間がかかります。また、満開の桜を表現するために使われている「空摺」(版木に絵具を付けずに、紙に立体的な凹凸だけを付ける摺の技法)や、花びらの濃淡を表現するための「ぼかし摺」など手の込んだ摺の技法が多用されています。

本作の額装は、落ち着いた溜色の塗り額と、春らしく高級感のある木地色の額の二種類からお選びいただけます。
どちらの額も、和洋問わず様々なインテリアのお部屋にしっくりと馴染みます。また、企業さまの応接間やエントランスホールなどにも上品に飾っていただけます。

桜花に富士図《特別仕様額付》
桜花に富士図《特別仕様額付》
桜花に富士図《特別仕様額付》
桜花に富士図《特別仕様額付》
桜花に富士図《特別仕様額付》

桜花に富士図《特別仕様額付》

富士山を描かせて、北斎の右に出る者はいないでしょう。代表作「冨嶽三十六景」をはじめ、様々な富士の姿を描き続けた北斎。そんな"富士の絵師"北斎が描いた本図は、現存作例も極めて少ない知る人ぞ知る優品です。上品な色彩、空摺の多用など趣向を凝らし、贅を極めた特注品として、当時作られました。日本人の心象ともいうべき二大モティーフを巨匠・北斎が大らかに伸び伸びと描いた「桜花に富士図」。幾重にも重なる花びらの柔らかな線、春霞の空気を伝える透明感ある色彩。いつの時代も変わらない美しさを是非ご堪能ください。

※こちらは額付の商品です。商品価格には、額縁の代金も含まれています。
※額の種類をお選びください。(T:溜色とN:木地色で販売価格が異なります。)

色: T: 溜色(ツヤのある暗紅色)
北斎は、宝暦10年(1760)江戸本所割下水に生まれました。19歳で勝川春章に弟子入りし、翌年には春朗と名乗り勝川派風の役者絵を発表。その後、和漢洋の絵画の各流各派を学び、様々なジャンルの浮世絵を手がけ、独自の画風を確立していきます。他の絵師に比べて遅咲きの絵師であり、北斎の名を不動のものとした「富嶽三十六景」を手がけたのは、七十歳を過ぎてから。森羅万象あらゆるものの真を描くことに執念を燃やし、老いてなお、その制作意欲は衰えることなく、九十年の生涯で、数多くの作品を残しました。1999年、米ライフ誌が選んだ「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に唯一選ばれた日本人であり、近年最も注目を集めている浮世絵師です。

価格

セール価格¥65,000

(¥71,500税込

数量:
サイズ/重量画寸法:20.5 × 54.8 cm 【額】寸法:38.5 × 72.0 cm/重量:(T) 約2.0kg (N) 約2.4kg
素材用紙:越前生漉奉書
【額】天然木、アクリル(UVカット70%)
特徴版種:木版画
備考作品解説(日英併記)あり

当ページは「桜花に富士図」特別仕様額付のご注文ページです。
リーズナブルなアダチ特製浮世絵専用額(黒)での額装や、版画のみご購入の方はこちらのページからご注文ください。

 

アダチ版画の想い

私たちアダチ版画研究所は、伝統的な木版技術の基本を守りながら、
時代にあった魅力ある作品を創造してまいります。

こだわりの品質・素材

アダチ版画研究所では、木版本来の美しさを最大限に引き出すために、厳選した素材と道具を使用しています。

伝統の技術・職人

商業印刷として発展した浮世絵の制作は、効率や採算性が重視されたことから、すべての工程において無駄がなく洗練されています。浮世絵の技術の基本をご紹介します。