
ニック・ウォーカー Nick Walker
山高帽の紳士「Vandal(ヴァンダル)」をモチーフにした作品で知られるニック・ウォーカーは、イギリス・ブリストル出身のアーティスト。1980年代のステンシル・グラフィティムーブメント(型紙を用いるグラフィティアートの興隆)の一翼を担い、バンクシーも、彼に影響を受けたと言われています。2000年代後半に注目を浴び、彼の初期の代表作「Moona Lisa」がオークションで高額で落札されたことで、さらに人気に拍車がかかりました。世界中にファンを有し、各地で制作依頼を受け、ニューヨーク、パリ、ノルウェーなどの都市で彼の作品を見ることができます。またスタンリー・キューブリックの映画「アイズ ワイズ シャット」(1999年)では、グラフィティに彩られたニューヨークの街を再現しました。
アダチ版画研究所とのコラボレーションでは、彼の代表的なモチーフである「Vandal(ヴァンダル)」、「モナ・シンプソン」のほか、富士山を題材にした3点の木版画を制作しました。
作品一覧

「Tokyo Nectar」(2024年制作)

「Mona Simpson」(2025年制作)

「A Meeting of Minds」(2025年制作)
彫ーCarving process
刀の先端に神経を集中させ、版木に刀を入れていく
ニック・ウォーカー氏は、通常作品の制作に型紙(ステンシル)を用います。型紙を切る工程は、木版画の彫りの工程と通じるところもあり、同氏は木版画の制作技術に高い関心を抱いていました。工房を訪問した同氏は、彫師の技術を目の当たりにし「Amazing!」と称賛しました。





摺ーPrinting process
日本独特の素材と技から生まれる、軽やかで鮮やかな色彩
ステンシルグラフィティと木版画の制作工程の親和性を楽しみながら、ニック・ウォーカー氏は伝統木版画ならではのぼかし(グラデーション)の表現を作品の中に積極的に取り込みました。





Artist Profile
<p>ニック・ウォーカー(1969-)</p>
ブリストル生まれ。1980年代のステンシル・グラフィティムーブメントに参加。山高帽の紳士「Vandal」をモチーフにした作品で知られる。映画「アイズ ワイド シャット」(監督:スタンリー・キューブリック、1999年)でニューヨークの通りを再現。2008年ロサンゼルスとロンドンで開催した個展が話題となり、代表作《Moona Risa》がオークションで5.4万ポンドで落札された。2011年ストリートアートのイベント「See No Evil」に参加。主なグループ展に「With You I Want to Live」(フォートローダーデール美術館、2010年)。
