
ヨーロッパを拠点に活動し、国内外で高い評価を得ているアーティスト・ロッカクアヤコ氏。ロッカク氏はアクリル絵の具を付けた手指で直接キャンバスや段ボールに描く独自の手法が特徴。高度な彫や摺の技術を駆使することにより、ロッカク氏らしい自在なタッチとカラフルな色彩が、木版画特有の温かみのある風合いと共に見事に表現されています。
<p>ロッカクアヤコ(1982-)</p>
千葉市出身のアーティスト。20 歳頃から独学で絵を始め、絵筆を使わず手に直接絵の具をつけ、段ボールやキャンバスに描くスタイルで制作を続けています。村上隆氏の主宰するアート・イベント GEISAI に参加し、2006 年にスカウト賞を受賞して以降、評価を高め、その後 2011 年にオランダのクンストハレ美術館、2012 年にはスロバキアのメレンスティーン・ダヌビアーナ美術館でそれぞれ大規模な個展を開催。ヨーロッパをはじめ国際的に注目を集めると、拠点をアムステルダム、ベルリンと移し、現在はポルトガルを拠点に活動しながら作品を発表しています。2020 年には千葉県立美術館にて大規模個展を開催し、近年ではアートマーケットでも評価を高めています。
2022 年現在、GALLERY TARGET(原宿)と、 KÖNIG GALERIE(ベルリン)に所属。ロッカクは初期から一貫して、自身の直接の手触りの中でイメージを発見し、身体性を伴う指のストロークとネオンカラーのカラフルな色彩感覚によって抽象画的ランドスケープの中を漂う少女を描いています。その少女はアニメ的とも捉えられるアンバランスな手足に大きな瞳と力強く引かれた唇を持ち、アンファンテリズムと抽象性、そしてアジア人女性という作家のバックグランドを同時に感じさせることで独創性と多様性を獲得しています。そしてそれらの要素が混然一体となり、ポジティブなイメージとして作品となっていきます。背景の色彩は尽きることなく溢れ出るように動きを増し、瑞々しい輝きを放つ色彩世界を繰り広げています。

作品一覧

「無題1」(2020年制作)

「無題2」(2022年制作)

「無題3」(2025年制作)
彫ーCarving
刀の先端に神経を集中させ手指によって描かれる独特の線を彫りあげていく
彫師は、絵師であるロッカク氏が手指で描いた独特の柔らかな描線を忠実に彫りあげていきます。小刀一本で繊細な線を彫る作業は、彫師が最も高い集中力と精度を求められる場面です。


摺ーPrinting
日本独特の素材と技から生まれる軽やかで、鮮やかな色彩
伝統木版画特有の軽やかで鮮やかな発色は、丁寧に作られた楮の和紙に水性絵具を馬連を使って摺りこむことで生まれます。摺師は、ロッカク氏の描く作品の世界観を感じ取りながら、色を調合し、摺り重ねていきます。


