変幻自在の水を描き表す

北斎が極めた「波」の変遷

<p>森羅万象を描いた絵師・葛飾北斎</p>

「森羅万象尽くして描かざるはなき」と評された浮世絵師・北斎。
その評の通り、北斎は生涯を通じて、風景や人物など明確に目に見えるものだけでなく、風や水の流れ、時間などはっきりとした形を持たないもの、さらには神仏から怪異までをも描き出そうとしました。

北斎が追究し続けた波の表現

様々なものを描いた北斎が、特に大きなこだわりを持って生涯挑み続けたのが、「波」の表現でした。北斎は生涯で幾度も波を描き、変幻自在の水の動きを捉えるために試行錯誤を繰り返しています。類似する構図や共通の要素を持ちながらも、北斎の波の描き方は常に斬新です。

その変遷をたどるため、ここでは、北斎の4つの波をご紹介いたします。

「おしをくり はとう つうせんのづ」(左)と「賀奈川沖本杢之図」(右)は、共に北斎が40代のころに描いた作品です。額縁を意識した縁取りや横書きの題名、陰影の表現など随所に西洋風の要素が見られ、新しい表現に対する北斎の意欲が感じられます。

どちらも、今にも高波に飲まれそうな船が描かれており、後年の「神奈川沖浪裏」の原型を見ることができます。
波頭はまるく猫の手のような形をしており、立ち上がった波の厚みによって、大量の水が押し寄せてくるときの重量感がすでに十分に表現されています。


そして北斎の代表作「神奈川沖浪裏」は、北斎が70代前半で描いた作品。先ほどの2図と比べると、「神奈川沖浪裏」では波のせり上がり方や水しぶき、かぎづめ型の波頭の形状や陰影のつけ方など、迫力とリアリティが増しています。

また、「おしをくり はとう つうせんのづ」と「賀奈川沖本杢之図」がやや俯瞰の視点を取り、上から見下ろしているような画角で描かれているのに比べ、「神奈川沖浪裏」は海面に近い真横からの視点で描かれています。視点を低くすることによって、今にも飲み込まれそうな小舟、静かにそびえる富士山の存在感とが合わさり、見る者に大波が勢いよく迫ってくる感覚を与えます。

長年にわたり、リアルで魅力的な波の表現と演出を追究してきた北斎の集大成とも言える、不朽の名作です。

「総州銚子」も「神奈川沖浪裏」と同じ、北斎が70代前半の頃の作。

この作品では、空を描かず画面いっぱいに海面を描いて見せた北斎。画面を斜めに走る岩の稜線の後方には寄せる波を、前方には引く波の様子をダイナミックに描いています。

岩鼻に砕け散る激浪の中で、必死で船を操る人々の様子は、厳しい自然界における人間の矮小さを表しているようです。また、濃い藍色のぼかしによって、水の深さや広さを表現するなど、長年培われてきた北斎の造詣力が存分に発揮されています。

「総州銚子」は、長い時間をかけて波の表現を追求した北斎が、寄せる波と、引く波の表情を見事に描き分けた傑作です。

葛飾北斎「千絵の海 総州銚子」アダチ版復刻浮世絵

【8月末まで・限定20組!】
探究と変化を楽しむ 「北斎の波」4図セット


・「おしおくりはとうつうせんのづ
・「賀奈川沖本杢之図
・「神奈川沖浪裏
・「総州銚子
4図で¥79,200(税込)のセットです。

こちらのセットは2024年8月末までの期間限定でのご紹介。
20セット限定で、額1点(¥16,500)、もしくは収納帙1点(¥13,200)をプレゼントいたします。
お好みの商品をお選びのうえカートに入れてください。
※各作品に、アダチ特製浮世絵専用額用のマットが付きます。ご不要の場合は備考欄にご記入ください。
※本セットの販売は、2024年8月末迄です。また期間中であっても、注文数が20点に達した場合は終了とさせていただきます。

【限定20組・期間限定!】 探究と変化を楽しむ 北斎の波セット
【限定20組・期間限定!】 探究と変化を楽しむ 北斎の波セット
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葛飾北斎「千絵の海 総州銚子」アダチ版復刻浮世絵
【限定20組・期間限定!】 探究と変化を楽しむ 北斎の波セット
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【限定20組・期間限定!】 探究と変化を楽しむ 北斎の波セット
【限定20組・期間限定!】 探究と変化を楽しむ 北斎の波セット

【限定20組・期間限定!】 探究と変化を楽しむ 北斎の波セット

30代後半から晩年までの作品4図を通して、北斎の「波」への飽くなき探究心を堪能できるセットです。

※額、または収納帙(タトウ)を1点サービスでお付けします。ご希望の種類をお選びください。
※額をお選びの場合、「神奈川沖浪裏」を額装してお届けいたします。他の作品を額装してのお届けをご希望の場合には、備考欄にご記入ください。
※「神奈川沖浪裏」は大判、「おしをくりはとうつうせんのづ」「賀奈川沖本杢之図」「総州銚子」は中判サイズの作品です。(中判は大判の約半分のサイズです。)

Item: F:額1点サービス
北斎は、宝暦10年(1760)江戸本所割下水に生まれました。19歳で勝川春章に弟子入りし、翌年には春朗と名乗り勝川派風の役者絵を発表。その後、和漢洋の絵画の各流各派を学び、様々なジャンルの浮世絵を手がけ、独自の画風を確立していきます。他の絵師に比べて遅咲きの絵師であり、北斎の名を不動のものとした「富嶽三十六景」を手がけたのは、七十歳を過ぎてから。森羅万象あらゆるものの真を描くことに執念を燃やし、老いてなお、その制作意欲は衰えることなく、九十年の生涯で、数多くの作品を残しました。1999年、米ライフ誌が選んだ「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に唯一選ばれた日本人であり、近年最も注目を集めている浮世絵師です。

価格

セール価格¥72,000

(¥79,200税込

数量:
サイズ/重量画寸法:「おしをくり はとう つうせんのづ」18.0 × 23.9 cm、「賀奈川沖本杢之図」22.0 × 35.0 cm、「神奈川沖浪裏」26.4 × 38.6 cm、「総州銚子」18.4 × 26.4 cm 【額・収納帙】寸法:40.0 × 55.5 cm/重量:【額】 約1.8kg
素材用紙:越前生漉奉書
【額】天然木、アクリル(UVカット70%)
特徴版種:木版画
備考作品解説(日英併記)あり

当ページは葛飾北斎「おしをくりはとうつうせんのづ」「賀奈川沖本杢之図」「神奈川沖浪裏」「総州銚子」4図セットのご注文ページです。
1図のみでお求めの方は各商品ページからご注文ください。

アダチ版画の想い

私たちアダチ版画研究所は、伝統的な木版技術の基本を守りながら、
時代にあった魅力ある作品を創造してまいります。

こだわりの品質・素材

アダチ版画研究所では、木版本来の美しさを最大限に引き出すために、厳選した素材と道具を使用しています。

伝統の技術・職人

商業印刷として発展した浮世絵の制作は、効率や採算性が重視されたことから、すべての工程において無駄がなく洗練されています。浮世絵の技術の基本をご紹介します。